ABOUT THERMO WOOD
サーモウッドについてご紹介いたします。
“木の経年変化を再現する”サーモウッド加工を施したネック
「サーモウッド」とはフィンランドで主に建材への使用を目的として開発された木材加工の手法。近年音響的な特性にも注目が集まり、ギターへの使用が進んでいます。木材を無酸素状態において180℃近い高温で熱した後、乾燥されることで独特の褐色に変化します。画像はいずれもメイプル材のネックですが、サーモウッド・普通のメイプル・サーモウッドで並んでいます。白色のメイプルがここまで褐色になってしまうのもサーモウッド処理のなせる技と言えるでしょう。
この加工によるメリットは「寸法安定性」と「音質の変化」。
ネックはギターに組み込まれ完成した後も少しずつ乾燥が進みます。この間トラブルなく良い状態を保ちながら時間を経過したギターがいわゆる「ヴィンテージギター」。そのサウンドは「枯れている」「乾いている」などと表現され、多くのミュージシャンがこぞって求めています。
サーモウッド加工を経たネック材は通常生産に使用する木材に比べ水分量や脂成分が少なくなっています。これはヴィンテージギターのそれに近い状態。経年変化を強制的に進行させたこのネックを使用することで「新品でありながらヴィンテージのようなサウンド」を再現します。というプレイヤーにとって一種の理想的なギターが完成します。
サーモウッド処理は大きく分けて3つの段階を通過します。
1. 乾燥工程
水蒸気で満たされた装置の中へ入れられた木材は、まず100℃近い温度まで上昇させながら、木材内の水分がほぼ0%という状態まで乾燥されます。この期間およそ18時間程度です。
2. 熱処理工程
一定の時間を経過した後、そのまま更に高温の状態(180℃~200℃)へ急激に上昇させます。この期間10時間程度です。
3. 冷却・調湿工程
材の含水率(木材内の水分)を調節しながら常温まで下げると処理が完了します。15時間程度の時間を要します。
この工程、各方面の資料を参考に記載させていただいております。
「木が200℃近く高温まで熱くなって焦げないの?」と不思議に思いますが、「水蒸気で満たされ、酸素がほとんど無い状況のため高温でも燃えることがない」しくみになっています。このような状況で完成したサーモウッド。処理温度が上昇するにつれて、反りやねじれが発生しにくくなることが証明されています。
この寸法安定性はネックに使用された場合でも大きなメリットなのでは無いでしょうか。「新品でありながらヴィンテージのようなサウンド」というプレイヤーにとって一種の理想的なギターが完成します。