『Deviser Rosetta Vessel』について

『Deviser Special Specification Rosetta』シリーズはもともと、2005年4月から2007年1月までの2年弱の短い期間に生産されていたモデルです。当時の生産本数はわずか243本。生産終了後、Rosettaシリーズの人気は中古市場などでじわじわと高まり、生産再開を望む声が私たちに多く届くようになりました。

ディバイザー創立30周年である2021年、ユーザーの皆様からの声に応えたいという思いを胸に私たちは14年ぶりのRossetaシリーズの生産再開を決意しました。

14年ぶりに製作されたRosetta Vessel シリアルNo. “244”

Rosettaの特徴

2021年に復刻された『Deviser Special Specification Rosetta』 シリーズはFホールのホロウボディ構造、25インチスケールなどといった基本的なデザインはそのままに、細部に渡ってブラッシュアップが施されています。

Fホールとアクセントラインが特徴のホロウボディ

ピックガードやコントロールパネルの無いシンプルなデザインながらもFホールと外周のラインがアクセントとなっている特徴的なデザイン。内部がくりぬかれたセミホロウボディ構造によってギター全体が軽量で、快適に長時間演奏することが可能です。

絶妙なテンション感を生み出す25インチスケール

所謂「ロングスケール(25 1/2インチ)」と「ミディアムスケール(24 3/4インチ)」の中間である25インチスケールを採用。ボディ形状とボルトオン構造から想像されるよりも若干緩めのテンション感が、独特な「ルーズ感」を生み出します。ロングスケールのギターだとテンション感がきつくチョーキングなどもし辛いと感じるプレーヤーにもおすすめです。

Mojotone P-90 Classic & Hot Rod

アメリカのハンドワイヤリングピックアップメーカーMojotoneのP-90タイプピックアップを採用。リアポジションはやや出力の高いHot Rodモデルでフロントとのバランスを取っています。エッジのあるアタックと丸みのあるウォームなトーンを併せ持ち、プレイヤーのニュアンスを表現豊かに出力します。

蓄光素材ルミンレイによるサイドポジション

指板サイトのポジションマークには2000年代当時から蓄光素材の物が使われていましたが、2021年以降の復刻にあたってはより発光性能の高い「ルミンレイ」を採用しました。ライブのステージでは演出上暗くなる場面も多く、現場での支持が非常に高い仕様です。

“Deviser Special Specification”ヘッドロゴ

2000年代当時にも使われていた手描き風のロゴを再現しました。ボディの外周にも入れられている黒のラインがヘッドでもデザインのアクセントとなっています。
トラスロッドアジャストの溝はMomoseブランドでも使われている広めのサイズに拡張し、ロッド調整がより容易となるとともにトラスロッドのナットを付け替えることも可能となり、よりユーザーフレンドリーな仕様にアップグレードしました。

Rosetta職人 高取裕二よりメッセージ

2000年代当時からRosettaシリーズの製造を担っていた職人、高取裕二が2021年以降の復刻版においても製造を担当。

有限会社飛鳥 木工加工部長 高取裕二
MomoseブランドやBacchus Handmadeシリーズなどを含む飛鳥工場の木工加工部門を監督しながら自らも製造に携わっている。
―2000年代の初期ロット制作時の思い出

 当時のRosettaモデルほとんど全て自分が木工加工を担当していました。2002年に入社してまだ若手だった自分にとってRosettaモデルの製作は新しい事へのチャレンジの連続であり、職人としての経験を積ませてもらった思い出深いモデルです。Rosetta Vesselのマホガニーネックはメイプルと比べると動きやすく、適切なシーズニングと加工を施さなければならないので、ネックの状態を注意深く見守りながら製造していました。今では知識、経験を重ねて、より適切なネック材の選定や乾燥処置を行えるようになりましたので、以前より安定感のあるネックになっていると思います。

―Rosettaのデザイン

 ヘッドとボディにワンポイントでライン入れているデザインが当時から好きでしたね。これによってシンプルなボディにアクセントが入り、締まりを与えていると思います。ヘッドロゴは出来合いのフォントでは無く、飛鳥の社長がデザイナーに依頼して特別に作ってもらったものです。当時『Deviser Special Specification』のブランドはカスタム要素が強く、和紙を貼り付けるショーモデルなど色々な事にチャレンジも出来ました。その分作るのは大変でしたが、職人冥利に尽きるギターだったと思います。
生産再開となったこれからも色々なことに挑戦したいと密かに目論んでいます。

―再生産にあたっての改良

再生産するにあたって図面を見直し、当時製作しながら気になっていた細かい部分に改良を加えました。例えば、トラスロッドの調整がしやすくなるようにトラスロッドアジャストの穴を大きく拡張しました。サイドポジションには暗闇で光る蓄光素材ルミインレイを使っています。2000年代当時は別の蓄光素材を使っていましたが、ルミインレイの方が明るく、実用性が高くなりました。また飛鳥工場が全面の信頼を寄せているアメリカ製のMojotoneピックアップを採用し、サウンド面でも当時のモデルから進化しました。

Rosettaモデルは変わった仕様が多く2000年代の当時は大変な思いをしながら製作していましたが、今は経験を積んで技術も向上しているため、今は良い意味で楽しんで作ることができます。作りながらどんどん面白くなり、もっと良いギターになるなと自信が出てきましたね。当時のRosettaを知っている方も、そうでない方にも、色々なギタリストに触って欲しいです。