2022.12.28

Headway『The Eagle’23』それは新たなる出発点

12月某日、ディバイザー本社にて百瀬恭夫に新モデルとして誕生した「The Eagle」について、実際にモデルに触れてもらい、脈々と継承されているHeadwayのフラグシップの最新機種について話をうかがいました。

百瀬恭夫が目指したHeadway

ー昭和のHeadwayは、「ノーマルブレイシング」と「ノンスキャロップド」のコンビネーション、新たな個性を目指した新モデルについて

百瀬：当時のHeadway115&415シリーズは「ノーマルブレイシング」「ノンスキャロップド」の組み合わせを基本としていました。ノーマルブレイシングはその当時欧米のギターを分解して、研究しブレイシングの交点位置を独自に配置したものです。削り込みの少ないノンスキャロップドを採用した理由は、Headwayの発足当初からの理念である「育てるギター」を目指していたため、弾き込める丈夫なギターを作るために剛性を重視していました。

今回は、安井君、降幡君が当時のノーマルブレイシングを再構築という現代アレンジを加え今までにない新しい音の発見にワクワクしています。当時は日々生産に追われる毎日だったので45年目に自分が設計したモデルを後輩たちが再構築してくれるのは感慨深いです。
そして最近、私がカスタムモデルに採用している、やや浅めに削り込みをおこなう「シャロースキャロップド」をATBシリーズで初採用している点も非常に興味深いですよね。
後輩たちがアレンジしたブレイシングと私のスキャロッドの組み合わせをいろんな方に弾いてもらいたいギターになっています。

「The Eagle ’23」マスタービルダー「百瀬恭夫」の感想

ー実際のモデルを確認して、どう思われますか？

百瀬：ルックスも非常に好感が持てるモデルですね、個性的で有りつつまとまったデザインがとってもいいです。115＆415がこのように進化すると思っていなかったですし、Headwayの象徴である「Eagle」がモデルとして誕生するなんて夢にも思っていなかったです。

肝心の音色ですが、「新しい音」がしますね。できたばかりなので若い音もするんですが、別の意味の「新しい」これまでのHeadwayがより洗練されているというか…弾いてもらうとわかると思いますがサスティーンや箱鳴りが凄くいいですね。高音から低音までバランスも申し分ない。

以前、私が作った昭和のHeadwayをリペアで見せてもらう機会があったんですが、それがまた艶やかさと色気がある音色で乾いた良い音がしてたんです。設計思想やポテンシャルは継承していますし、より進化している部分もあるのでこれは弾き込んで育てる価値のある1本だと思います。

新たなHeadway 目指したのは「新しい個性」

ー45年もの歴史を刻むHeadwayが、新たに送り出す新モデルはどうでしょうか？

百瀬：音のバランスがとてもいいですね。どの弦でも鳴りの均一性がとれていて艷やか。剛性などの耐久面などもすごく計算されているから安心して弾き込んでいけると思います。
何年か弾き込むと音の表情が変わると思います、10年ぐらい経つとかなり色気のある音になると思うので、毎日弾いてもらいたいですね。
本当に、新しい個性という発見のあるモデルだと思います。

Newモデルは挑戦的でありつつ百瀬が納得した進化

ー若い職人達もこのモデルには大きな思いを託して作っていると思います

百瀬：若い職人達が日々いい意味で切磋琢磨しているから、素晴らしいギターが生み出されると思います。今のHeadwayは腕のいい職人が集まっていると思います。アコースティックギターはエレキギターと違い大きく変化する部分が少ないですが、今回は音色・ルックスともに新しいHeadwayになっていると思います。そして115&415の歴史も踏まえた味付けをしているので剛性や設計思想など納得できるギターだと思います。