Headwayの上位機種を手掛ける飛鳥工場の代表として3人のカスタムショップビルダーから45周年に寄せたメッセージをお届けします。



八塚惠初代社長に声を掛けてもらって1977年にHeadwayを始めたときには、まさかこのブランドが45年も続くものになるとは思っていませんでした。

私がそれまで勤めていたOEM生産が中心のギター工場では自分の満足のいくギター作りが難しかったのですが、声を掛けてもらって一から工場を立ち上げることになり、理想とするギター製作を行いたいうという希望を胸にHeadwayブランドをスタートさせました。 製作に使う治具や機械も一から開発し、独自開発した器具を使用してタイトに仕込むアリ溝ジョイントやネックの後仕込みなど、伝統のギター製作に学びながらも高い精度が求められる工法を開発し、より良いギター製作に尽力してきました。

途中生産が中断することもあったものの45年間Headwayを続けられてきたのは幸運な「人との巡り合い」に恵まれたことが大きいと思います。ただの一職人だった私を新工場の設立のため熱心に誘ってくれた八塚初代社長、中断していたHeadwayギター製作の再開のきっかけを作ってくれた「ヘッドウェイギター最高!」の吉田さん、Headwayの理念を受け継いで育ってきてくれた若い職人たち、そして何よりもHeadwayギターを愛して弾いてくださるお客様の皆様のとの出会いがあったお陰でここまで続けて来れました。

私も後どれだけギター製作に携われるか分かりませんが、安井、降幡をはじめとした次世代の職人達もしっかりと育ってきているため、心配なくHeadwayを守ってくれるものと感じています。

これからも創業当時の理念を受け継いで、時代が変わってギター業界や世の中が変化する中でも、より良いギター製作に誠心誠意取り組んでまいります。 今後ともHeadwayを何卒よろしくお願い申し上げます。



自分が入社したのは今から約20年前のHeadwayの生産が再開してからまだ間も無いころです。当時は百瀬さんを中心として今よりも更に少人数の体制でギターを製造していました。入社して間もなく25周年のモデルの製作補助に携わり、歴史があるブランドのギターを作るという責任感を覚えたことが今でも印象に残っています。それからさらに20年が経ち今年は45周年ということで、時の流れの速さを感じています。

45周年にあたりそしてこれからのHeadwayの未来を踏まえて自分が大事にしていきたいと考えていることは二つあります。まずは何よりも百瀬さんが築き上げてきたこれまでのHeadwayのギター作りを守っていくこと。長く安心して良い音で演奏して頂けるという創業当時からの理念を受け継ぎ、次世代に継承することが自分たちの役目です。
もう一つはその一方で、新しい技術を導入しHeadwayの裾野を広げていくこと。これまでの自分のキャリアを振り返るとレーザーやNCルーターの工場への導入と技術開発を行ったことが大きなターニングポイントとなっています。これによりインレイやデザインの技術が発展し今も続く500番シリーズや桜モデルといったギターの開発に寄与することが出来ました。

百瀬さんが長年かけて築き上げてきたHeadwayのギター作りの基礎を守りながら、臆せずに新しい技術にも挑戦し続けます。コロナ禍が収束したら、またイベントやクリニックを通してユーザーの皆様とお会い出来ることを楽しみにお待ちしております。



学生だった自分がHeadwayの工場を見学させてもらったのは15年ほど前のことだったと思います。その時にギターを作る百瀬さんの姿に憧れ、百瀬さんのようなギター職人になりたいと思いこの道に進むことを決心しました。
その後2009年に入社し下積み期間を経て飛鳥工場のHeadwayの部署に配属、念願だった百瀬さんの下でギター製作を始めることが出来きました。 しかし、百瀬さんのギター作りを間近で見て一緒に生産に携わることになった当初、理想のギター職人になるという道は思うほど簡単でないということを身に染みて覚えました。傍にいてはじめて理解できる本当の凄さ、技術力の高さを思い知り、少しでも技を盗んで自分の物にしようと必死で背中を追いかけ続けました。
やがて自分もカスタムショップのギター製作を任せてもらえる立場になりましたが、ここまで成長出来たのは間近に目標とする職人がいて一緒に切磋琢磨する仲間がいたからこそだと心から思います。

45周年となった現在のHeadwayでは桜材を用いたギターなどの認知も高まり、製品の幅が広がって新しい挑戦も果敢に行っております。そういった新しいHeadwayも楽しみにしてもらいたいですが、自分の作るカスタムショップギターでは百瀬さんが築き上げてきた「伝統的なHeadwayのギター」を受け継ぎそして発展させていくことを胸に、これまで以上に精進して参ります。