【ディバイザーがゆく!ギターショップ巡り】大商談会番外編~信濃ワインの工場へ潜入!2024編!~
全国津々浦々の楽器店を巡り、個性あふれる店舗やスタッフのみなさまにフォーカスを当ててお届けしていくこの企画!!
今回は番外編ということで、向かった先は私たちの地元、長野県松本市のお隣町塩尻市へ向かいます。
一体なぜお隣町にと言いますと信濃ワインさんのワイナリーへ向かいます。
なぜ楽器メーカーのディバイザーがワイナリーへ向かっているのか??というと・・・
2024年5月22日に開催されたディバイザー大商談会2024に参加された楽器店の皆さまへのお礼の贈り物で信濃ワインさんとコラボレーションを実施。
「参加した楽器店の皆さまにも楽しかったと思ってもらいたい」そのための贈り物選びもディバイザー大商談会の裏で、極上の楽器製作と同時に毎年進行するプロジェクトです。
今年、信濃ワインさんとコラボレーションしたのは世界的にも珍しい「赤のスパークリングワイン」です。
スパークリングワインといえば、白やロゼのイメージが強いですが、なんと今回は「赤」なんです。
赤のスパークリングワインが少ない理由は赤ワイン特有の渋みとスパークリング特有の炭酸の発泡性のバランスが調和せず、難しいことから生産するワイナリーが世界的に少なく、ワイン好きの方なら「赤のスパークリング?ロゼじゃなくて??」と考える方も多いと思います。
さらに使っている葡萄の品種は「コンコード」という日本国内では長野県のここ塩尻市でしか栽培されていない品種を使用しており、それ故に渋さ控えめなさっぱりした仕上がりになっており、一層その希少性と期待値が上がります。
今回、信濃ワインさんのワイナリーに取材へ行くのは他でもない、この赤のスパークリングワインに込められたこだわりや試行錯誤の一遍を知るため取材に訪れました。
ディバイザー本社から車で走ること15分・・・
レンガ造りの建物が信濃ワインさんのワイナリーです。
日本ワインと呼ばれる、日本でぶどうの生産から醸造まで行って作られたワインの生産量が長野県は全国2位。
一大産地となっている長野県の中で私達の松本市の隣町、塩尻市を中心にした地域は「桔梗ヶ原ワインバレー」と呼ばれています。
その地域で1916(大正5)年創業、長い歴史を誇るワイナリーが「信濃ワイン」さんです。
信濃ワインさんとコラボレーションする企画を行うのは今年が初めてではありません。
毎年コラボを行うその理由を皆さまへお伝えいたします。
扉の奥に入るとそこはワイン好きにはたまらない魅惑の世界が広がっています。
筆者:「こんにちは!今回もコラボレーションありがとうございます!今日はよろしくお願いいたします」
信濃ワインさん:「こんにちは。こちらこそ今年もありがとうございました。今日はワインセラーや畑をご案内しますので、ワインづくりのこだわりを見て行ってください」
信濃ワインのスタッフさんと軽く話をしながら、さっそくワインセラーへ案内してもらいます。
ワインセラーは地下にありますが、階段を降り始めるとひんやりとしてきます。
そして階段の壁にはカビが生え、独特の香りが広がっています。
「ワインセラー内がひんやりしているのは、井戸水をワインセラーの回りに循環させているから」との話で、通年変わらぬ温度と湿度を保つことがワインを長期保存するのには最適な環境であり、壁にカビが生えるのはその証でもあるのです。
ワインセラーの中に入ると待ち受けていたのは一面のワイン樽と壁に所狭しと並ぶビンで熟成されたワイン達。
ワインに光を当てない為、薄暗い環境とより一層広がるブルーチーズの様な独特の香りが漂い、クラシック音楽が流れており「ワインを美味しく熟成する」ただならぬ空間であることを伝えてきます。
ワインセラーの一角に逆さまにビンを並べ熟成されているワインがあります。
これが今回取材に来た信濃ワインさんのこだわりが詰まった赤のスパークリングワインです。
信濃ワインさんでは無濾過でビン詰めされており、その際に入る澱が集まるようにビンを逆さまにして熟成させていきます。
スパークリングワインで重要となる、炭酸の発泡。信濃ワインさんでは安価なスパークリングワインにある炭酸ガスを後から充填する方式ではなく、ビン内で酵母によって発酵させる「瓶内二次発酵」と呼ばれる製法を用いています。
この製法ではワイン酵母による発酵から生まれる天然の炭酸のみで発砲させている為、きめ細かな泡が楽しめるスパークリングワインに仕上がるが、じっくり長い熟成に期間を要します。
熟成の期間にはおよそ2年の歳月を要し、この間ワインを1本1本手業で回していく手間暇のかかる工程を経ることで、ビンの口側に溜まった澱が固まらず酵母と混ざることでアミノ酸へと分解され味わい深くなっていく。
熟成後、澱を出すのが一般的な製法だが、元々澱が少ないコンコードはその必要が無く、王冠で一度栓をしたらお客様が飲むまで開けないことは炭酸ガスを注入していない証明でもあると信濃ワインさんは語ります。
シードルを長野県内で始めて作ったのは信濃ワインさんで、リンゴのシードルからそのストーリーは始まったようです。
そこからスパークリングワインを作る話に広がり、「せっかく造るなら白だけじゃくて長野県で誰も造って無い赤も造ろう。発泡は炭酸充填じゃなくて、瓶内二次発酵で造ろう」と発展。
赤のスパークリングワインの製作はそこから始まり、商品化できるまでには実に10年近い歳月を要し、ある日にはワイナリーに来れば炭酸でビンが空き漏れていたこともあったと苦労話を聞けば更にこのワインへの魅力が増してきます。
話を聞けば聞くほど、決して安くない値段も納得できる、こだわりを持って製造されているワインであることを知り、物は違えど同じ信州の地で物作りをする私たちにも通ずるものがあると共感と刺激を受けてきます。
ワインセラーから売店へ戻り、畑を見に行く前にこちらも見学させてもらいます。
信濃ワインさんではジュースを造るにもこだわりが違い、ノンアルコールワインがほしいというお客様の話から、「それなら中途半端なノンアルコールワインよりうまいジュースを造ろうよ」と話が進み、ワインでポピュラーなメルロー種の葡萄を用いたジュースを作成。
こちらが昨年、農林水産大臣賞を受賞。日本一のジュースとなったとのことで興味が増してきます。
クラシックを聞かせて熟成している話もありましたが、商品には「奏音」や「交響曲」といった音楽にまつわるネーミングの商品も多数あり、音楽を大事にしていることも伝わってきます。
信濃ワインさんの社長直筆で書かれている「当社の製品は全て長野県産です。」の文言。信濃ワインさんでは全てのワインやジュースで使用している葡萄だけでなくリンゴも長野県産を用いて製作することにこだわっている話を聞けば、長野県内で楽器を製造するメーカーとしては共感と刺激を強く受けるものでした。
売店を後にいよいよ畑に向かいます。まず見せてもらった畑が今回の赤のスパークリングワインでも使用している「コンコード」の畑です。
信濃ワインさんでは明治23年からコンコードを活用したワイン造りを行っており、長い歴史と栽培への豊富なノウハウがあるからこそ、希少なワインが生まれてきます。
ワイン用で一般的な品種の畑に比べるとコンコードは頭上に棚が広がるように栽培されており、収穫や手入れに手間がかかり多くの農家やワイナリーでコンコードの栽培を止めてしまっている中で、近年になりワインの原材料としての人気が増してきている品種です。
栽培方法にこだわった畑もあり、無農薬で草を刈らない「草生栽培」を行っている畑もあり、この方式では葡萄が雑草に栄養を奪われまいと育つ為、手間はかかるが美味しい葡萄が収穫できると言います。
この畑で一番の老木は樹齢50~60年にもなっているそうですが、毎年しっかりと実をつけているそうです。
伸びている草もこの栽培方法では重要なポイントになっているようだ。
次に見せてもらった畑はワイン用の葡萄としては有名なカベルネ、シャルドネ、メルローの畑です。
信濃ワインさんではおよそ8種類ほどの葡萄を栽培しており、品種を増やしすぎないことで、一つ一つの品種で造るワイン1本1本にしっかりと向き合って造られております。
新緑の季節に取材に行った為、青々とした葉が美しく整い、
いつまででも寛げる爽やかな風が心地よい。
ワインの世界ではメジャーではなかったコンコードを活用し、信濃ワインさんが取り組み造りだした赤のスパークリングワインにはギター業界では異端であった日本産の桜材を活用して独自の製品を送り出し続けてきたディバイザーとして、大いに感銘と共感を得るものであり、今回の贈り物としてコラボレーションを行いました。
何気ないワイン1本でもその背景には手間暇がかかっており、1本1本に製作者の想いやストーリーが入っていることを知るとより一層美味しく飲めると感じます。
ワイン造りとギター製作。一見全く関係が無い他業種ではあれど、同じ長野県にてこだわりを持って製作する会社として、あらゆる場面で話を聞く度に共感し、極上のワイン造りと極上のギター製作とお客様に楽しんでもらう物を作りたいという思いは同じと勝手に思う筆者でありました。
信濃ワインさんではコロナ禍で休止していたサービスも再開されているようですので、ぜひ長野県へ旅行の際は皆さまお立ち寄りください。
極上のワイン達がお待ちしていると思います!
■信濃ワイン 会社情報
住所 〒399-6462 長野県塩尻市大字洗馬783
TEL 0263-52-2581
FAX 0263-52-2582
E-mail shop@sinanowine.co.jp
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年中無休 12月31日~4日休業
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